第27話:地主として「介入権」を行使した話——競売・調停・地裁での借地権トラブル解決
借地権が競売にかけられ、見知らぬ第三者が落札する——そんなケースが実際に起きました。地主である私がどう対応し、最終的にどう解決したのか、その一部始終を記録しておきます。
底地・借地権のトラブルに直面している方、あるいは将来に備えておきたい地主の方の参考になれば幸いです。
相手は簡易裁判所に調停を申し立てた
落札者側はまず簡易裁判所に調停を申し立てました。
借地借家の争いには「調停前置主義」というルールがあり、いきなり訴訟を起こす前に調停を経ることが求められるケースがあります(民事調停は簡易裁判所が原則)。
しかし私は、調停の場でも一貫して借地権の存在を否定し、出席もしませんでした。
その結果、調停は不成立となりました。
舞台は地方裁判所へ
調停が不成立になると、相手側は地方裁判所に**借地非訟(しゃくちひしょう)**の申立てを行いました。
これは借地借家法に基づく手続きで、競売で取得した借地権について、地主の承諾に代わる裁判所の許可を求めるものです(借地借家法20条)。
通常の訴訟とは異なり、借地非訟は裁判所が後見的に判断を下す非訟事件として扱われます。地代の妥当性、財産的価値、借地権譲渡の相当性などを総合的に判断する手続きです。
私は「介入権」を行使した
借地非訟の手続きでは、地主側に**「介入権」**という権利が認められています。
介入権とは?
「他の第三者に借地権を譲渡するくらいなら、私(地主)が買い取る」と申し出る権利です。
裁判所が認定した価格で、地主が優先的に借地権と建物を買い取ることができます(借地借家法19条3項・20条2項)。
なぜこれが重要か
第三者に借地権が移ると、その後の借地関係は新しい借地人と続くことになります。一方、地主が介入権を行使して借地権を取得すれば、借地権が消滅(混同)し、土地は完全所有権になります。
私は、この介入権を行使し、裁判所に認められました。
管理会社を間に入れて買い取りへ
実際の買い取りにあたっては、間に管理会社を入れる形で対応しました。
裁判所が認定した金額での取引となりましたが、これにより借地権の問題は解決しました。
自分で直接動くより、管理会社を介することで:
- 書類のやり取りがスムーズ
- 価格交渉や金銭の受け渡しも安心
- 万一のトラブル時にも記録が残る
という利点があり、結果的に良い判断だったと思っています。
この経験から学んだこと
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 借地権は競売にかかることがある | 借地人の倒産や債務整理などで第三者が落札するケースがある |
| 地主には「介入権」がある | 裁判所認定の価格で優先的に買い取れる権利が認められている |
| 管理会社の活用が有効 | 直接交渉より、間に専門家を入れることでスムーズに進む |
| 手続きの流れを知っておく | 調停→地裁(借地非訟)という流れを把握していると冷静に対応できる |
まとめ
底地や借地権のトラブルは、知識があるかないかで対応の幅が大きく変わります。
地主として「介入権」という選択肢があることを知っていたことが、今回の解決につながりました。
今回の一連の出来事——無断販売、倒産、競売、調停、借地非訟、介入権——は、底地経営の中でも特に複雑なケースです。同じような状況に直面する方は少ないかもしれませんが、知識として持っておくと、いざという時に冷静に動くことができます。
底地・借地は何十年も続く長期的な関係です。だからこそ、普段からの管理会社との連携と、最低限の法律知識が、自分の資産を守るための盾になります。
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