第30話:最後に残った共有名義の底地——境界線の確認から始まった解決
ここまで様々な底地のトラブル・解決をお伝えしてきましたが、最後にもう一つ、残っていた話があります。
兄弟との共有名義の底地が1箇所だけ、ずっと整理できないまま残っていたのです。
ある日、管理会社から連絡
そんなある日、管理会社から連絡がありました。
「底地の隣地が売却されることになりました。境界線の確認をしてほしいとのことで、連絡が来ています」
土地の売買では、隣地との境界を確定させることがほぼ必須です。隣地の所有者が変わる前に、お互いの土地の境界をはっきりさせておく——よくある手続きです。
当日、現地で境界を確認
指定された日に現地に行くと、すでに境界ポイントが打たれており、特に問題なく確認できました。
その時に、借地権者の方も来られていて、一緒に確認をしました。実は、この借地権者の方とお会いするのは初めてでした。
借地は親の代から続く関係でしたが、管理会社経由で地代をやり取りしていたため、面識はなかったのです。
「この機会だから」と切り出した
せっかくお会いできた機会だったので、ご挨拶した上で、こう切り出してみました。
「次の更新時までに、借地権を返していただくか、底地を買い取ってもらうか、どちらかをお願いできないでしょうか。私は今賃貸に住んでいて、住む場所がないんです」
正直な気持ちでした。
私自身が住居に困っていたという事情もありましたし、長く続いた共有名義の底地を、そろそろ整理したいという気持ちもありました。
「すぐに結論が出る話ではないとは思っています。価格は管理会社から提示させていただきます」と伝え、その日はそこで話を終えました。
私としての本音
私の立場としては、どちらの結論でも問題ありませんでした。
- 借地権を私が買い取る:完全所有権を取得し、自分の住居や賃貸活用に
- 底地を借地権者に売却する:共有名義を解消し、現金化
以前、兄弟は「底地を売却すると税金がかかるから嫌だ」と言っていました。しかし、それから時間が経ち、今では考えが変わっていることも私は知っていました。
つまり、兄弟側も売却に前向きになっていたのです。
借地権者からの提案
しばらくして、借地権者から管理会社経由で連絡がありました。
「底地を買い取りたい」
そして、こう続きました。
「ただ、前回の更新時から10年しか経っていないので、残り10年分の更新料相当額を値引きしてもらえないか」
これは合理的な提案でした。
通常、借地契約は20年ごとに更新され、その都度更新料が借地人から地主に支払われます。借地権者は前回の更新時にすでに更新料を支払っており、本来であればその後20年間借りられる予定でした。
しかし10年で底地を買い取ることになると、残り10年分は実質的に払い損になってしまいます。だからこそ、「残期間分の更新料相当額を底地価格から差し引いてほしい」という主張になったのです。
兄弟と相談して合意
私は兄弟にも確認を取りました。
共有名義の底地を売却するには、共有者全員の同意が必要です。事前に状況を共有して、価格交渉の方針も話し合いました。
兄弟も納得し、OKの回答を得られました。
その後、契約手続きを進め、底地を借地権者に売却することができました。
これで全ての底地の整理が完了
長く続いた共有名義の底地の整理は、これで全て完了しました。
| 時期 | 整理内容 |
|---|---|
| 当初 | 兄弟3人での共有名義4箇所 |
| 第1段階 | 4箇所→1箇所に集約(3箇所を単独名義に組み換え) |
| 第2段階(最後) | 残った1箇所を借地権者に売却 |
まとめ|タイミングと出会いの大切さ
今回の解決は、境界確認という偶然の出会いから始まりました。
- 隣地売却 → 境界線確認の依頼
- 現地で借地権者と初対面
- その場での率直な相談
- 双方の事情が合致 → スムーズな合意
底地のような長期の権利関係は、待つだけでは解決しません。今回のように、ふとした機会を活かして話を進められたことは幸運でした。
そして何より、信頼できる管理会社が間に入ってくれたこと、兄弟との情報共有ができていたことが、最終的な解決につながったと感じています。
底地・借地のシリーズはこれで本当に完結です。長くお付き合いいただきありがとうございました。
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