第31話:【豆知識】なぜ底地(旧借地法)は持たない方が良いか?収益と相続税のアンバランス
底地は相続税の対象となりますが、月々の収益は微々たるものです。特に旧借地法の底地は、長年の慣習で地代が低く抑えられている上、借地人の権利が手厚く保護されているため、地主側の自由度が低いという特徴があります。
ここでは「なぜ底地を持ち続けると不利になりやすいのか」を、数字を交えて整理します。
底地の収益はどれくらい?
底地から得られる収益には以下があります。
- 月々の地代
- 借地契約の更新料
- 建替承諾料
- 譲渡承諾料
ただし、地代の目安は一般的に 固定資産税・都市計画税の2〜5倍程度 と言われており、地域や慣習によって幅があります。
旧借地法における底地の利回りは、概ね1〜3%程度です。投資物件として見ると、決して高い水準ではありません。
相続税はどれくらいかかる?
底地の相続税評価額は、原則として以下の計算式で求められます。
底地の評価額 = 更地価格 ×(1 − 借地権割合)
借地権割合は地域ごとに国税庁が定めており、住宅地で**60〜70%**程度、商業地ではさらに高くなる傾向があります。
| 借地権割合 | 底地の相続税評価額 |
|---|---|
| 60%(住宅地) | 更地の 40% |
| 70%(住宅地) | 更地の 30% |
| 80%(商業地など) | 更地の 20% |
つまり、更地の30〜40%程度の評価額で相続税が計算されることになります。
ところが実際の売却価格は……
ここが問題です。
旧借地法の底地は、実際の市場での売却価格が極めて低いことが知られています。
- 一般的には更地価格の10〜60%(条件次第で幅広い)
- 旧借地法の底地は10〜15%程度になる事例も珍しくない
つまり、相続税は更地の30〜40%で計算されるのに、売っても10〜15%しか入ってこないという、極めて不利な構造になっています。
持っていることのデメリット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 地代収入は低い | 利回り1〜3%程度。物価上昇にも追いつきにくい |
| 相続税の負担が重い | 更地の30〜40%ベースで課税 |
| 売却価格は極めて低い | 旧借地法では更地の10〜15%程度の事例も |
| 自分では使えない | 借地人がいる以上、自由に活用できない |
| 担保価値も低い | 銀行融資の担保としては評価されにくい |
つまり、「収益は少ないのに、相続税の負担は重い」というアンバランスな構造になっています。
子供達への「負の相続」にならないか
このアンバランスは深刻です。
月々の地代を貯めていても、相続税の支払いには到底足りないことが多く、いざ相続が発生すると:
- 子供達が銀行から借金して相続税を払う
- もしくは他の資産(自宅など)を売って相続税を払う
という事態になりかねません。これが**「負の相続」**と呼ばれるものです。
持っていることのメリット
もちろん、底地にもメリットはあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 地代は半永久的に入る | 旧借地法は更新拒絶のハードルが高く、長期的に安定 |
| 管理の手間はほぼゼロ | 借地人が建物を管理してくれる |
つまり、「安定した低収益+低手間」という資産ではあります。
結論|整理を検討すべき
数字で見ると、底地は 「持ち続けるよりも、適切なタイミングで整理する方が合理的」 な資産であることが多いです。
特にチャンスになりやすいタイミングは次のような時です。
- 借地人が買取を希望してきた時:双方納得の合意で進められる
- 借地人が家を建て直すタイミング:住宅ローンの一部として底地買取を組み込める場合がある
- 借地人が世代交代する時:相続を機に整理を検討する家庭も多い
ただし、整理には譲渡所得税などの税金もかかります。実際に動くときは、税理士や不動産の専門家に試算してもらった上で判断するのが安全です。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 底地の利回り | 1〜3%程度(低水準) |
| 相続税評価 | 更地の30〜40%(借地権割合次第) |
| 実勢の売却価格 | 旧借地法では10〜15%程度の事例も |
| 持ち続けるリスク | 相続時に「負の相続」になりかねない |
| 整理のチャンス | 借地人の買取希望時・建替時・世代交代時 |
底地は 「次世代に渡す前に整理しておく」 という視点で見ると、また違った景色が見えてきます。